ハンデ差7、歳の差30 というマッチ決勝戦。
マンギラオを取り囲む黒い雨雲に不穏な雰囲気を感じながらスタートした1番ホール。幸先よく2オンを決めた俊基であったが、気持ちが強すぎたのか決勝戦の緊張感からなのか、いきなり4パットをしでかして出だしから躓いた。その後、相手の亀山は長めのパットをいくつも沈めていたが、俊基のショットとパットは本調子ではなく、前半終了時点で4ダウンと大きく出遅れてしまった。

ところが、後半に入ると風は強かったが天気が安定し、それと共に俊基のショットやパットも安定し始めた。10番、11番、12番を連続で奪い返し、13番はロストボールという不運で失ったものの、すぐに14番、15番を奪い返し、上がり連続3つのハンデホールを残して、遂にイーブンに持ち込んだのだ!
実は、後半に入ってから亀山の携帯には仕事のメッセージが入るようになり、カートに乗ったら携帯とにらめっこという状態が続いていた。俊基は自分に吹いている勝利の風を実感し、16番のティーグランドへオナーとして先頭を切って長い坂道を軽やかに駆け登った…つもりだったが、ちょっと疲れて息切れした。オナーなのですぐに打った。左の林に打ち込みOB。一歩後退して17番はアップドーミー。

俊基は、激しい向かい風で距離は出ないものの、無難にフェアウェイを打ち進み、右側下段に4オン。ピンは十数メートル先の左側上段。 対照的に亀山は、ティーショットからずっとコース左側の丘の中を打ち進み、4打目をグリーン直前のバンカーにぶち込んでしまった。
「このホールはハンデ付きの俺が断然有利になったし、次の最終ホールもハンデを生かして最低でも引き分けに持ち込めばカウントバックで俺の優勝は決まる」
とグリーン上の俊基が密かに夢想しながら亀山のバンカーショットを見つめていたところ…

コロコロ…ガシャン!コン!

バンカーから飛び出したボールは少し強めだったもののポールに当たってそのままホールに吸い込まれた。見事なチップインパー!
ガッツポーズする亀山はまるで全盛期のタイガーウッズのようだった。
ハンデホールなので2パット以内で俊基が終えれば勝負は最終ホールへと持ち込めたのだが、相手のスーパーショットを見せつけられた彼には、既にその気力は失われ体力も残ってはいなかった。




編集後記
こうしてひもけんこと関根賢治は2022年夏のマッチに続きまたも2階建て独り占めという偉業を達成し、この日のランチ8人分をドリンクを含め全て払うという太っ腹を見せた。ただ一つ残念だったのは、自分の乗った馬の名前をずっと「亀井」と間違っていた点である。